今日の役に立たない一言 - Today’s Trifle! -

古い記事ではさまざまなテーマを書いていますが、2007年以降はプログラミング関連の話がほとんどです。

Winny 裁判の有罪判決で思うこと

ウィニー開発者に有罪、「著作権侵害をほう助」・京都地裁
いろんなところでツール開発者が有罪となったことについて議論がなされている。個人的な意見だけど、やはりツールはツールでしかないわけで、著作権侵害は侵害する人の問題。
では、どうしても「著作権侵害をほう助」を有罪とするのならば、社会的影響度を基準にして被告人をピックアップすべきではないだろうか。
ところで、レンタルCDやDVDって、どのくらいコピーされてるんだろう?そもそも、レンタル店の店頭でCD-RやDVD-Rのメディアを売ってることだって、「著作権侵害をほう助」してるとしか思えないし。その現実から考えても、CD や DVD をリッピングしてコピーするなんて、多くの人が日常的にやっていること。そうなると、リッピングやライティングソフトの開発者も「著作権侵害をほう助」しているということになる。しかも、ライティングソフトによってメディア丸ごとコピーしてる方が、著作権侵害の割合からすると Winny による被害よりもはるかに大きいんじゃないかと思うんだけど???
Winny がもたらした著作権侵害なんて、たいした額じゃないんじゃないの?
調べてみたら、Winny による被害額はニュースに出ていた。

Winnyウィニー)」を介してインターネット上に無償で出回っているゲームソフトなどの市場価値が100億円に達するとの調査結果を明らかにした。
(略)
最も被害金額が多かったのはゲームソフトで51億円だった。最近発売したゲームソフトも出回っている例がある。パソコンの基本ソフト(OS)などビジネスソフトやアニメの動画もそれぞれ20億円近くに上った。

この内訳が書かれているところもあった。
Winnyによる被害額は約100億円--最も大きな被害はゲーム
このデータってどうよ? Winny ノード上に著作物が存在していることと、その Winny ノードの所有者がその著作物を侵害しているかどうかは別問題のはず。単純にその Winny ノードを経由しているだけならば、被害額に計上するのは無理がある。実際の被害額は100億円のうちの1〜2割程度ではなかろうか?
ついでにWinny ユーザがどのくらいいるのかも調べてみたら、こちらはWikipediaに書かれていた

2006年4月現在のユーザー数は44万から53万人程度である

それに比べると、レンタル店のCDやDVDをコピーしてるのって、レンタル店の顧客一人あたりの著作権侵害額っていくらくらいになるんだろう?レンタル店の顧客の場合は、借りたものを視聴するだけの人の方が多いだろうから、平均にすると少ないんだろうけど、コピーされた著作物の総額は Winny による被害額とは桁が違うような気がする。で、こちらも調べてみたところ、レンタル店経由の著作物ではないし、3年前とちょっと古く、しかもコンピュータソフトに限られているデータなので単純な比較はできないんだけどこんな感じ。

日本における2003年の違法コピー率は29%と世界で7番目に低いものとなったが、損害額は16億3000万ドル(約1800億円)で、世界ワースト5位になった。

BSA、2003年の日本の違法コピー率は29%に減少――第1回 世界ソフトウェア違法コピー調査の結果を発表
どうしても「著作権侵害をほう助」を犯罪として立件するんなら、やっぱりリッピング・ライティングソフトの開発者やメーカーを有罪にする方が、明らかに理にかなっているとおもうのだが。しかも無償で配布している金子被告と違って、こちらはソフトを売って利益を得ているんだから。