今日の役に立たない一言 - Today’s Trifle! -

古い記事ではさまざまなテーマを書いていますが、2007年以降はプログラミング関連の話がほとんどです。

姉歯事件は建築業界だけじゃない!

この記事では、開発者たちが「モノづくり」の良心を考え直すことで、システムの不具合を減らせるのではないかと期待している。たしかに「モノづくり」の良心を忘れた開発者もいるかもしれないが、それは全体から見るとほんの一部に過ぎないだろう。
しかし、この記事は根本的に間違っている。
姉歯建築士やその周辺企業がやったことは意図的に法令違反を犯し、さらにチェック機構の穴をすり抜けるように工夫をしていた。それに対して、東証システムの不具合は、意図的な要素は(たぶん)ない。それらを「モノづくり」の良心という観点で同列に語るのには明らかに無理がある。
システム開発における不具合のほとんどは故意ではないだろう。この記事では、

しかし、手抜き・チェックミス・使いまわし・パクリなど姉歯建築士のように「モノづくり」の良心を放棄したような例は、自戒のこめて意外と少なくないような気がする。

のように書かれているが、手抜きはともかく、チェックミス・使いまわし・パクリは「モノづくり」の良心を放棄したような例としてあげることが適切だとは思えない。(パクリは微妙だけど)
そもそも、「モノづくり」の良心を語るだけで、今日の複雑なシステムから全ての不具合を取り除くことは無理がある。さまざまな観点からシステムを検証し、仕様検討段階で不具合原因をつぶしていく必要がある。
仕様検討段階で不具合原因をつぶすには、広範な知識が必要となる。建築において建築士が不可欠であるのと同様に、システム開発においてもそのような立場の人が不可欠なのだ。しかし、現在のシステム開発の大半は、建築士に対応する立場の人が存在しない。
そこで必要となるのが資格制度だと考えている。この話は以前から何度か書いているので、過去に書いたものを紹介しておく。
2005-11-27 ソフトウェア技術者連盟福岡セミナー
2004-11-30 資格
2004-11-10 IT技術者の資格義務付け